どこかで半分失くしたら 役には立たないものがある
2011.09.06,Tue
るり姉 / 椰月美智子
小中高の3姉妹のおば(母親の妹)にあたる“るり姉”が急に重い病気になる。
あぁ、闘病ものでお涙ものか。今はそんな気分じゃないのになーと目次を見返すと、章立てがそれぞれ一人称で語られているようだ。ひとりずつ、るり姉との思い出話を紡いで最後には死んでしまう話か、今はつらいなぁ、と想像して読み進めるも一向にるり姉の名前が出てこない。話題にものぼらない。章ごとに、ひとりひとりの視点から見た何でもない日常が淡々と進んでいくだけだ。もしかしたらこれは、もう死んじゃったあとの話なのかと次第に不安になる。
そして最終章。膝を打った。唸った。そうか、そういう組み立てか、そういう構成だったのか。
やばい。この人の文章が好きになってしまった。
るり姉
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小中高の3姉妹のおば(母親の妹)にあたる“るり姉”が急に重い病気になる。
あぁ、闘病ものでお涙ものか。今はそんな気分じゃないのになーと目次を見返すと、章立てがそれぞれ一人称で語られているようだ。ひとりずつ、るり姉との思い出話を紡いで最後には死んでしまう話か、今はつらいなぁ、と想像して読み進めるも一向にるり姉の名前が出てこない。話題にものぼらない。章ごとに、ひとりひとりの視点から見た何でもない日常が淡々と進んでいくだけだ。もしかしたらこれは、もう死んじゃったあとの話なのかと次第に不安になる。
そして最終章。膝を打った。唸った。そうか、そういう組み立てか、そういう構成だったのか。
やばい。この人の文章が好きになってしまった。
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2011.08.24,Wed
しずかな日々 / 椰月美智子
新しい著者の文章を読むのはぼくにしてはちょっと冒険である。けっこう好き嫌いが激しく、この人の文章は好き、この人のは嫌い、とキッパリ分けてしまう。好きと思った人のだけをとことん読む偏食家です。
この椰月美智子という人のものは初めてだったけど、とても体にしっくりきた。澱みがない。つっかえるところがない。
そもそも読もうと思ったきっかけは、ある人が「よかったよ」と言ってたからで、ぼくはその人の絵が好きだし、その人の生活ぶりが好きなので、読まないわけにはいかない。
図書館で目にした本は、表紙が本城直季の写真で、これまたきっかけとしては十分だ。本城直季の写真もぼくは好きなのだ。装丁も好みで全体の雰囲気がいい。
児童文学といえるくらい平易な言葉使いだけど、とても奥深い。むかし橋本治が言ってたのを思い出す。「簡単なことを難しく言うのは誰でもできるけど、難しいことを簡単な言葉で説明するのはむずかしい」と。
内気で、さえない小学生がともだちを作り、ともだちを通じて少しずつおとなになっていくお話。劇的なことは起こらなくて、ただ着実におとなになっていく少年の胸のうちをうまく言葉にしてある。おすすめ。
しずかな日々
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新しい著者の文章を読むのはぼくにしてはちょっと冒険である。けっこう好き嫌いが激しく、この人の文章は好き、この人のは嫌い、とキッパリ分けてしまう。好きと思った人のだけをとことん読む偏食家です。
この椰月美智子という人のものは初めてだったけど、とても体にしっくりきた。澱みがない。つっかえるところがない。
そもそも読もうと思ったきっかけは、ある人が「よかったよ」と言ってたからで、ぼくはその人の絵が好きだし、その人の生活ぶりが好きなので、読まないわけにはいかない。
図書館で目にした本は、表紙が本城直季の写真で、これまたきっかけとしては十分だ。本城直季の写真もぼくは好きなのだ。装丁も好みで全体の雰囲気がいい。
児童文学といえるくらい平易な言葉使いだけど、とても奥深い。むかし橋本治が言ってたのを思い出す。「簡単なことを難しく言うのは誰でもできるけど、難しいことを簡単な言葉で説明するのはむずかしい」と。
内気で、さえない小学生がともだちを作り、ともだちを通じて少しずつおとなになっていくお話。劇的なことは起こらなくて、ただ着実におとなになっていく少年の胸のうちをうまく言葉にしてある。おすすめ。
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2011.08.09,Tue
十字架 / 重松清
いじめを苦に自殺した少年。遺書に<親友>として<好きだった人>として名前を書かれてしまった真田裕と中川小百合。いじめの傍観者だった自分をなぜ<親友>と書いたのか、少年の告白をむげに断ったその日に自殺したのはなぜ。壊れてしまった残された少年の家族とふたりの、苦悶の関わりの物語。
たまたまいじめの対象に選ばれてしまった<いけにえ>という十字架。学校を卒業しても上京しても結婚しても、ずっと<いじめの傍観者>という十字架を背負い続けることを余儀なくされ、やがて自らそれを背負うことを選んで生きていく<親友>とされたクラスメート。あの日乱暴に電話を切ったせいで少年は自殺したんじゃないかと<後悔>しつづける十字架。
人知れず誰もが十字架を背負って生きている。後悔の念にさいなまれ何度詫びても過ぎたことは変えられないことがある。
この世のすべての人が十字架を背負って美しく生きていると思いたい。
十字架
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いじめを苦に自殺した少年。遺書に<親友>として<好きだった人>として名前を書かれてしまった真田裕と中川小百合。いじめの傍観者だった自分をなぜ<親友>と書いたのか、少年の告白をむげに断ったその日に自殺したのはなぜ。壊れてしまった残された少年の家族とふたりの、苦悶の関わりの物語。
たまたまいじめの対象に選ばれてしまった<いけにえ>という十字架。学校を卒業しても上京しても結婚しても、ずっと<いじめの傍観者>という十字架を背負い続けることを余儀なくされ、やがて自らそれを背負うことを選んで生きていく<親友>とされたクラスメート。あの日乱暴に電話を切ったせいで少年は自殺したんじゃないかと<後悔>しつづける十字架。
人知れず誰もが十字架を背負って生きている。後悔の念にさいなまれ何度詫びても過ぎたことは変えられないことがある。
この世のすべての人が十字架を背負って美しく生きていると思いたい。
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2011.07.27,Wed
ブルーベリー / 重松清
40代にはちょうどいい1980年代の若者のおセンチで甘酸っぱい短編集。まさにブルーベリーな物語。
ラジカセや、LPレコード、貸レコード、ウォークマン。懐かしいワードがいっぱい。
ブルーベリー
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40代にはちょうどいい1980年代の若者のおセンチで甘酸っぱい短編集。まさにブルーベリーな物語。
ラジカセや、LPレコード、貸レコード、ウォークマン。懐かしいワードがいっぱい。
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2011.07.07,Thu
重力ピエロ [文庫] / 伊坂幸太郎
「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」という台詞が幾度となく語られるけど、その真意がどこにあるのかまだ掴めない。そこが核なんだろうけど、わからない。ほかにも「大事なことは軽く伝えるべきだ」「人生はあまり長くないんだから、あまり深いことまで考えないほうがいいよ」とか。出生のことが孕んでるんだろうけど、言葉に整理することができない。
伊坂幸太郎の文章は読んでて、たのしいな。機転の利く会話の返しや、わざと冷めた台詞を吐くあたりがいい。
映画ではミステリー的な要素が大きくて、どんでん返しでクライマックスに持って行ってたけど、小説は弟・春と家族の物語でした。圧倒的に覆せない運命を生きる家族の逞しい話でした。
固有名詞こそ出てこないものの仙台銘菓「萩の月」が2回登場するところが個人的なツボ。
重力ピエロ [文庫]
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「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」という台詞が幾度となく語られるけど、その真意がどこにあるのかまだ掴めない。そこが核なんだろうけど、わからない。ほかにも「大事なことは軽く伝えるべきだ」「人生はあまり長くないんだから、あまり深いことまで考えないほうがいいよ」とか。出生のことが孕んでるんだろうけど、言葉に整理することができない。
伊坂幸太郎の文章は読んでて、たのしいな。機転の利く会話の返しや、わざと冷めた台詞を吐くあたりがいい。
映画ではミステリー的な要素が大きくて、どんでん返しでクライマックスに持って行ってたけど、小説は弟・春と家族の物語でした。圧倒的に覆せない運命を生きる家族の逞しい話でした。
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1.夢で逢いましょう / ハナレグミ
2.糸 / 中島みゆき
3.革命 / andymori
4.OCTAVERS / 槇原敬之
5.PLUMED BIRDS / 高中正義
6.カントリーマーチ / 栗コーダーカルテット
7.猫 / サザンオールスターズ
8.大人になれば / 小沢健二
9.白い恋人 / サニーデイ・サービス
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プロフィール
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趣味:ウクレレ
自己紹介:大阪在住。デザイン関係の仕事をしています。iMac愛用。携帯はINFOBAR C01 nishikigoi。断然ネコ派。愛猫をなくして7年。現在ネコなし生活。熱帯魚はずっといる。いまは小さいやつら。読書は森見登美彦と原田宗典と村上春樹。たばこをやめて8年。毎朝コーヒーを飲む。なにはなくとも一杯のコーヒー。ピクチャーロジックの第2管理人。(2015年8月現在)
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